睡眠・不眠 #29
夜勤・交替勤務の人の睡眠の取り方
結論(先に)
夜勤では「通常の朝型リズム」だけを目指すのが難しい場合が多いです。光・仮眠のタイミング・帰宅後の環境など、時間帯ごとの工夫が有効とされています(※1)。職場の安全(運転・機械操作中の眠気)は個人の工夫だけでなく、産業医・職場の安全配慮とセットで考えることが大切です。
読者の状況
- 夜勤明けに眠れない
- 勤務中に強い眠気がある
- 休日に昼型へ戻すべきか迷う
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 夜勤に慣れれば問題ない | 慣れたように見えても睡眠不足は残ることがある |
| 明けの日は普通に活動したほうがよい | 回復睡眠を確保する設計が必要 |
| カフェインで乗り切ればよい | 摂る時刻を誤ると帰宅後の睡眠を妨げる |
根拠に基づく一般向け整理
交替勤務睡眠障害(SWSD)
ICSD-3(国際睡眠障害分類第3版)では、交替勤務による不眠・過眠が**交替勤務睡眠障害(SWSD:Shift Work Sleep Disorder)**として定義されています(※2)。Boivin & Boudreau(2014)のレビューでは、完全な体内時計の適応は困難であり、睡眠の量・質・タイミングを個別に工夫することが推奨されています(※1)。
時間帯ごとの工夫(一般論)
| タイミング | 工夫の方向性 |
|---|---|
| 夜勤前 | 十分な睡眠(可能なら短い仮眠)を確保 |
| 夜勤中 | 前半は光で覚醒を保つ、後半はカフェインを控える |
| 帰宅時 | 強い朝日を避ける(サングラス・帽子) |
| 帰宅後 | 遮光・静音環境で睡眠確保;睡眠時間を家族と共有 |
| 休日 | 昼型へ完全に戻しにくい場合は折衷案を |
仮眠の活用
勤務前の短い仮眠(20〜30分程度)は覚醒水準を維持する助けになることがあります。ただし職種・職場のルールによります。
長期リスク
交替勤務者では代謝疾患・心血管リスク・メンタルヘルスの問題が報告されています(※3)。慢性的な睡眠不足が続く場合は産業医や内科への相談が推奨されます。
今日から試せる行動
- 夜勤前に短い仮眠を取る
- 勤務後半のカフェインを控える(→ #10)
- 帰宅時は明るい光を避ける
- 家族に睡眠時間を共有し、起こさないよう頼む
受診・紹介の目安
- 運転中・機械操作中の眠気(安全上の緊急性)
- いびき・強い日中眠気(OSA の合併を除外 → #14〜16)
- 気分症状・うつ様症状がシフトと重なる(→ #18)
- 産業医・勤務先の制度とあわせた相談
免責
一般向け概説です。勤務規定・安全配慮は各職場のルールに従ってください。
参考文献
国際文献
- ※1 Boivin DB, Boudreau P. Impacts of shift work on sleep and circadian rhythms. Pathol Biol (Paris). 2014;62(5):292-301.
- ※2 American Academy of Sleep Medicine. International Classification of Sleep Disorders, 3rd ed. Darien, IL: AASM; 2014.
- ※3 Wang F, et al. Meta-analysis on night shift work and risk of metabolic syndrome. Obes Rev. 2014;15(9):709-720.
国内文献
- ※4 特集「睡眠の正しい理解を促す70のトリビア」:夜勤・交替勤務と睡眠 等. 精神医学 2025; 67(5)