睡眠・不眠 #17
CBT-Iで言う睡眠日記——続けられる現実ラインだけ先に決める
結論(先に)
睡眠日記はCBT-Iにおいて睡眠パターンを客観的に把握するツールです。毎朝2〜3分で記入できる最小限の項目から始めることが長続きのコツです。スマートフォンのメモでも構いません。「完璧に記録する」ことより「2週間続ける」ことの方が価値があります(→ #7 睡眠制限法との組み合わせ)。
読者の状況
- CBT-Iを始めたいが、睡眠日記のつけ方がわからない
- 細かく記録しようとして挫折した経験がある
- ウェアラブルの記録と睡眠日記の違いがわからない
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 睡眠日記は正確に記録しないと意味がない | 大まかな記憶で十分;目的はパターンの把握であり精密計測ではない(※1) |
| ウェアラブルがあれば日記は不要 | 主観的な体感(眠れた感覚・日中の調子)はデバイスでは測れない |
| 毎晩つけるのが辛くなった時点でやめていい | 朝起きた直後に記録する習慣に変えると続きやすい |
根拠に基づく一般向け整理
睡眠日記の目的
CBT-Iでは、睡眠効率(ベッドにいる時間のうち実際に眠れた割合)の計算に睡眠日記を使います(→ #7)(※1)。また、睡眠パターンのトレンドを確認することで「思っているより眠れている」または「特定のパターンがある」ことに気づく助けになります(→ #66 睡眠計の数値との比較)。
最小限の記録項目(7項目)
| 項目 | 記録内容(朝、記憶で大まかに) |
|---|---|
| 就寝時刻 | 何時ごろ布団に入ったか |
| 入眠時刻 | 何時ごろ眠れたか(大まかで可) |
| 中途覚醒の回数と時間 | 何回・合計何分ごろ目が覚めたか |
| 最終起床時刻 | 最終的に布団を出た時刻 |
| 総睡眠時間(感覚) | 大まかに何時間眠れたか |
| 日中の眠気(5段階) | 1(全くない)〜5(抵抗できない) |
| 特記(痛み・飲酒など) | 影響がありそうな出来事だけ |
続けるコツ
- 朝起きた直後に記録(夜は忘れやすい)
- スマホのメモ・シンプルな表形式で十分
- 「思い出せない部分は空欄でOK」と決める
- 2週間を最初の目標にする(1か月は長すぎる)
ウェアラブルとの組み合わせ
ウェアラブルの数値と手書きの主観記録を並べると、「デバイスは〇時間と言っているが体感は△時間」の比較ができます(→ #66)。医師との相談の際にどちらも参考になります。
今日から試せる行動
- 今夜から7項目を朝にスマホのメモにつけてみる
- 2週間続けて自分の「平均的なパターン」を確認する
- 睡眠効率(眠れた時間÷ベッドにいた時間×100)を週単位で計算してみる
受診・紹介の目安
2週間の記録を持参して医師・専門家に相談すると、CBT-Iの方針立てが具体的になります。睡眠日記を1か月以上つけても改善しない・悪化する場合は早めの受診を検討してください。
免責
本記事は一般向けの健康情報です。睡眠日記は診断ツールではなく、自己管理と医療相談の補助です。
参考文献
国際文献
- ※1 Edinger JD, et al. Behavioral and Psychological Treatments for Chronic Insomnia Disorder in Adults: An AASM Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2021;17(2):255-262.
国内文献
- ※2 上野太郎. プログラム医療機器を用いた不眠症治療としての認知行動療法. 精神医学 2025; 67(1)
- ※3 特集「睡眠の正しい理解を促す70のトリビア」. 精神医学 2025; 67(5)