男性の更年期 #39

前立腺の検査はいつ誰がするか(入口だけ)


結論(先に)

前立腺がんは日本人男性のがん罹患数第1位であり(※1)、早期発見が予後に大きく影響します。PSA(Prostate-Specific Antigen:前立腺特異抗原)検査は50歳以上の男性に推奨されており、家族歴などリスクがある方は45歳からの受診も選択肢です。「症状がないから大丈夫」とは限らず、定期的な受診習慣が大切です。まずは泌尿器科または内科でPSA検査を依頼してください。


読者の状況

  • 50代に入り、前立腺の検査を受けたほうがいいと聞いたが何をすればいいかわからない
  • 健康診断で前立腺の項目がなく、どこで受ければいいか不明
  • 夜間の頻尿や排尿に時間がかかる感覚があり、前立腺が気になっている
  • 父親が前立腺がんだった、または前立腺肥大と診断されたことがある
  • LOH症候群の症状があり、泌尿器科に行くべきかどうか迷っている

よくある誤解

誤解実際
「症状がなければ前立腺は大丈夫」前立腺がん初期はほぼ無症状。スクリーニングに意義がある理由の一つ ※1
「PSA が高い=がん確定」PSA上昇は前立腺炎・前立腺肥大でも起こる。確定診断には専門的評価が必要 ※2
「前立腺検査は高齢になってから」家族歴がある場合は45歳からの受診が推奨されている ※2
「前立腺がんは進行が遅いから急がなくていい」タイプによっては急速に進行するものもあり、一概には言えない ※1

根拠に基づく一般向け整理

PSA検査とは

PSA(前立腺特異抗原)は前立腺から分泌されるタンパク質で、血液検査で測定できます。前立腺がん・前立腺炎・前立腺肥大などで上昇しますが、がんに特異的なわけではありません(※2)。検査値の解釈は医師が行います。

受診目安(一般的なガイドライン)

  • 50歳以上の男性:PSAスクリーニングを検討(※2)
  • 45歳以上:父・兄弟に前立腺がんがいる場合、またはアフリカ系(日本ではリスク評価は個別)
  • 70歳以上:利益とリスクのバランスを医師と相談した上で継続の判断

これらはあくまで目安であり、個人の健康状態によって異なります。

検診の流れ(一般的な例)

血液採取によるPSA測定 → 値が基準を超えた場合、泌尿器科での精密検査(MRI・生検など)への紹介、という流れが一般的です(※1)。

前立腺肥大とLOHの関係

前立腺肥大(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)はテストステロン・ジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受け、加齢とともに増加します。頻尿・残尿感・尿勢低下などの症状が LOH症候群と重なることがあり、泌尿器科での鑑別が推奨されます(→ #9)。


今日から試せる行動

  • 50歳以上の場合、次の健診や内科受診時にPSA検査を依頼する
  • 夜間頻尿・排尿困難・尿勢低下が続く場合は泌尿器科を受診する
  • 父・兄弟に前立腺がんの既往があれば、45歳以降を目安に受診を検討する
  • 受診時に「前立腺の検査を受けたい」と一言伝えるだけで始められる

受診・紹介の目安

すぐに受診してほしいケース(赤旗症状):

  • 尿に血が混じる(血尿) → 泌尿器科を速やかに受診
  • 急に尿が出なくなった(急性尿閉) → 救急受診
  • 背中・腰・骨盤の激しい痛みを伴う排尿障害

早めに受診を検討してほしいケース:

  • 夜間頻尿・残尿感・尿勢低下が数か月続く
  • PSA検査を一度も受けたことがない50歳以上の方
  • 家族に前立腺がん患者がいる

受診先:泌尿器科(精密検査・前立腺生検)、内科・かかりつけ医(PSAスクリーニング依頼)


免責

本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の医学的診断・治療の代替にはなりません。PSA検査値の解釈や受診の要否は医師にご相談ください。


参考文献

国内文献

  • ※1:国立がん研究センター「がん情報サービス:前立腺がん」(2024年統計)
  • ※2:日本泌尿器科学会「前立腺がん検診ガイドライン 2023年版」

国際文献

  • ※2:Carter HB, et al. “Early detection of prostate cancer: AUA Guideline.” J Urol. 2013;190(2):419-426.