関節リウマチは男性にもある——見逃しやすい症状と受診の目安
結論(先に)
関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)は女性に多い疾患として知られますが、男性にも発症します。男性では症状が非典型的なことがあり、「加齢による関節痛」として見逃されやすいとされています。朝のこわばりが1時間以上続く・複数の関節が対称的に腫れるなどのサインがある場合は、整形外科またはリウマチ科への受診を検討してください。
読者の状況
- 「最近、手の指の関節が腫れている気がする」
- 「朝起きると関節がこわばって動かしにくい」
- 「関節痛を歳のせいと思って放置してきた」
- 「リウマチは女性の病気という印象があった」
- 「整形外科に行くべきか、内科に行くべきか迷っている」
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 関節リウマチは女性しかならない | 男性にも発症する。男性患者は女性の約1/3の頻度とされる(※1) |
| 関節の痛みは年齢のせいなので受診不要 | RAは早期治療が予後改善に重要。放置は関節破壊につながりうる |
| こわばりは少し動けばすぐ治まるはず | RA由来のこわばりは朝1時間以上続くことが特徴 |
| 男性のRAは女性と同じ症状が出る | 男性では大関節(膝・肩)から始まるなど非典型例が多いとされる(※2) |
根拠に基づく一般向け整理
関節リウマチとは
関節リウマチ(RA)は、関節の滑膜(かつまく)に炎症が起きる自己免疫疾患です(※1)。炎症が続くと関節の軟骨や骨が破壊されることがあり、早期からの適切な治療が重要とされています。
原因として自己免疫反応の関与が考えられており、遺伝的背景・喫煙・感染などのリスク因子が報告されています(※3)。
男性のRAの特徴
RAは女性に多い疾患ですが、男性でも発症します(※1)。男性のRAでは以下の特徴が指摘されています(※2)。
- 発症年齢がやや高い傾向がある
- 大関節(膝・肩・足首)から始まるケースがある
- 血清RF(リウマトイド因子)陰性の例が女性より多い場合がある
- 症状が「加齢による関節痛」と混同されやすく、受診が遅れやすい
主な症状と鑑別のポイント
RAが疑われる主な症状は以下の通りです(※1)(※4)。
- 朝のこわばり:起床時に関節(特に手指)がこわばり、1時間以上続く
- 対称性の関節腫脹:左右同じ関節が腫れる(手指・手首・足指が多い)
- 関節の痛みと熱感:安静時にも持続することがある
- 全身症状:疲労感・微熱・体重減少
LOH症候群(→ #1)と重なる全身症状(疲労感・意欲低下)もみられるため、症状の組み合わせで鑑別を進めることが重要です(→ #31)。
関節リウマチと男性更年期・テストステロン
テストステロンには免疫調節作用があるとする報告があり、LOH症候群(→ #1)の状態がRA発症・増悪に関連する可能性を示唆する研究があります(※5)。ただしこの関係はまだ研究段階であり、現時点では確立した知見ではありません。
受診先の目安
- 整形外科:関節の痛み・腫れ・変形を最初に評価してもらう入口として適切
- リウマチ科(膠原病内科):RAと確定された、または強く疑われる場合の専門科
- 血液検査(RF・抗CCP抗体・CRPなど)と画像検査(X線・MRIなど)で診断が進みます
今日から試せる行動
- 朝のこわばりの持続時間を1週間記録してみる
- 腫れている関節の場所・左右対称かどうかを写真やメモで記録する
- 「関節リウマチかどうか確かめたい」と整形外科・リウマチ科に相談する
- 喫煙者はRAリスク低減の観点からも禁煙を検討する(→ #24)
受診・紹介の目安
以下に該当する場合は、早めに整形外科またはリウマチ科を受診してください。
- 赤旗症状:朝のこわばりが1時間以上続き、複数の関節に及ぶ
- 赤旗症状:関節の明らかな腫脹・発赤・熱感がある
- 赤旗症状:発熱・体重減少・強い疲労感が関節症状と同時にある
- 症状が6週間以上続いている
- 日常動作(箸・ボタン・歩行)が困難になってきた
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療の代替ではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、医療機関を受診してください。
参考文献
国内文献
※1 日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2020」
※4 日本整形外科学会「関節リウマチの基礎知識」
国際文献
※2 Jawaheer D, et al. Sex differences in the clinical presentation of rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2006;55(5):648-655.
※3 Klareskog L, et al. A new model for an etiology of rheumatoid arthritis: smoking may trigger HLA-DR (shared epitope)-restricted immune reactions to autoantigens modified by citrullination. Arthritis Rheum. 2006;54(1):38-46.
※5 Cutolo M, et al. Sex hormone modulation of cell growth and apoptosis of the human monocytic cell line. Arthritis Rheum. 1996;39(7):1222-1228.