男性の更年期 #32

関節リウマチは男性にもある——見逃しやすい症状と受診の目安


結論(先に)

関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)は女性に多い疾患として知られますが、男性にも発症します。男性では症状が非典型的なことがあり、「加齢による関節痛」として見逃されやすいとされています。朝のこわばりが1時間以上続く・複数の関節が対称的に腫れるなどのサインがある場合は、整形外科またはリウマチ科への受診を検討してください。


読者の状況

  • 「最近、手の指の関節が腫れている気がする」
  • 「朝起きると関節がこわばって動かしにくい」
  • 「関節痛を歳のせいと思って放置してきた」
  • 「リウマチは女性の病気という印象があった」
  • 「整形外科に行くべきか、内科に行くべきか迷っている」

よくある誤解

誤解実際
関節リウマチは女性しかならない男性にも発症する。男性患者は女性の約1/3の頻度とされる(※1)
関節の痛みは年齢のせいなので受診不要RAは早期治療が予後改善に重要。放置は関節破壊につながりうる
こわばりは少し動けばすぐ治まるはずRA由来のこわばりは朝1時間以上続くことが特徴
男性のRAは女性と同じ症状が出る男性では大関節(膝・肩)から始まるなど非典型例が多いとされる(※2)

根拠に基づく一般向け整理

関節リウマチとは

関節リウマチ(RA)は、関節の滑膜(かつまく)に炎症が起きる自己免疫疾患です(※1)。炎症が続くと関節の軟骨や骨が破壊されることがあり、早期からの適切な治療が重要とされています。

原因として自己免疫反応の関与が考えられており、遺伝的背景・喫煙・感染などのリスク因子が報告されています(※3)。

男性のRAの特徴

RAは女性に多い疾患ですが、男性でも発症します(※1)。男性のRAでは以下の特徴が指摘されています(※2)。

  • 発症年齢がやや高い傾向がある
  • 大関節(膝・肩・足首)から始まるケースがある
  • 血清RF(リウマトイド因子)陰性の例が女性より多い場合がある
  • 症状が「加齢による関節痛」と混同されやすく、受診が遅れやすい

主な症状と鑑別のポイント

RAが疑われる主な症状は以下の通りです(※1)(※4)。

  • 朝のこわばり:起床時に関節(特に手指)がこわばり、1時間以上続く
  • 対称性の関節腫脹:左右同じ関節が腫れる(手指・手首・足指が多い)
  • 関節の痛みと熱感:安静時にも持続することがある
  • 全身症状:疲労感・微熱・体重減少

LOH症候群(→ #1)と重なる全身症状(疲労感・意欲低下)もみられるため、症状の組み合わせで鑑別を進めることが重要です(→ #31)。

関節リウマチと男性更年期・テストステロン

テストステロンには免疫調節作用があるとする報告があり、LOH症候群(→ #1)の状態がRA発症・増悪に関連する可能性を示唆する研究があります(※5)。ただしこの関係はまだ研究段階であり、現時点では確立した知見ではありません。

受診先の目安

  • 整形外科:関節の痛み・腫れ・変形を最初に評価してもらう入口として適切
  • リウマチ科(膠原病内科):RAと確定された、または強く疑われる場合の専門科
  • 血液検査(RF・抗CCP抗体・CRPなど)と画像検査(X線・MRIなど)で診断が進みます

今日から試せる行動

  • 朝のこわばりの持続時間を1週間記録してみる
  • 腫れている関節の場所・左右対称かどうかを写真やメモで記録する
  • 「関節リウマチかどうか確かめたい」と整形外科・リウマチ科に相談する
  • 喫煙者はRAリスク低減の観点からも禁煙を検討する(→ #24)

受診・紹介の目安

以下に該当する場合は、早めに整形外科またはリウマチ科を受診してください。

  • 赤旗症状:朝のこわばりが1時間以上続き、複数の関節に及ぶ
  • 赤旗症状:関節の明らかな腫脹・発赤・熱感がある
  • 赤旗症状:発熱・体重減少・強い疲労感が関節症状と同時にある
  • 症状が6週間以上続いている
  • 日常動作(箸・ボタン・歩行)が困難になってきた

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療の代替ではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、医療機関を受診してください。


参考文献

国内文献

※1 日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2020」
※4 日本整形外科学会「関節リウマチの基礎知識」

国際文献

※2 Jawaheer D, et al. Sex differences in the clinical presentation of rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2006;55(5):648-655.
※3 Klareskog L, et al. A new model for an etiology of rheumatoid arthritis: smoking may trigger HLA-DR (shared epitope)-restricted immune reactions to autoantigens modified by citrullination. Arthritis Rheum. 2006;54(1):38-46.
※5 Cutolo M, et al. Sex hormone modulation of cell growth and apoptosis of the human monocytic cell line. Arthritis Rheum. 1996;39(7):1222-1228.