男性の更年期 #28

男性の骨粗鬆症——なぜ更年期文脈で語るか


結論(先に)

骨粗鬆症は女性に多いとされますが、男性でも加齢・テストステロン(Testosterone)低下・生活習慣などを背景に発症する可能性があります。男性の骨粗鬆症は骨折まで症状が出にくく、発見が遅れがちです。LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism:加齢男性性腺機能低下症候群)を考える文脈では、骨の健康も合わせて確認することが重要です。


読者の状況

  • 「骨粗鬆症は女性のもの」と思っており、自分ごとに感じたことがない
  • 腰痛や背中の痛みが続いているが、加齢のせいと思って放置している
  • 整形外科で骨密度を指摘されたが、その背景がよくわからない
  • LOH症候群について調べていて、骨との関係を初めて知った
  • 転倒・骨折の予防に関心があるが、何から始めればよいかわからない

よくある誤解

誤解実際
骨粗鬆症は女性の病気男性骨粗鬆症は全骨粗鬆症患者の約20〜30%を占めるとされる(※1)
痛みがなければ骨は大丈夫骨粗鬆症は骨折するまで自覚症状がないことが多い(サイレントディジーズ)
骨密度低下=治療不要骨折リスク評価に基づき治療の必要性を判断する(医師の評価が必要)

根拠に基づく一般向け整理

男性の骨とテストステロンの関係

テストステロン(Testosterone)は骨形成に関与するホルモンであり、加齢によるテストステロン低下は骨密度低下と関連する可能性が指摘されています(※2)。また、テストステロンはエストロゲン(女性ホルモン)に変換される経路があり、男性においても骨代謝にエストロゲンが重要な役割を担っているとされています(※3)。

男性骨粗鬆症の主な原因

男性骨粗鬆症は「原発性」と「続発性」に分けられます(※1)。

  • 原発性:加齢(特発性含む)
  • 続発性:ステロイド薬の長期使用・アルコール多飲・低栄養・慢性疾患(糖尿病・慢性腎臓病など)・性腺機能低下(LOH症候群含む)

続発性が疑われる場合は、原因疾患の治療が骨粗鬆症の管理においても重要となります。

整形外科・骨折との接点

男性の骨粗鬆症に関連する骨折で特に多いのは**椎体骨折(背骨の圧迫骨折)大腿骨近位部骨折(股関節部の骨折)**です(※1)。大腿骨近位部骨折は男性での死亡率が女性より高い傾向があることが報告されており(※4)、骨折予防の重要性が指摘されています。

骨密度の確認について

骨密度検査(DXA法:二重エネルギーX線吸収法)は整形外科・骨粗鬆症外来・一部の健診で受けられます。LOH症候群が疑われる場合は、主治医に骨密度検査の必要性について相談することをお勧めします。


今日から試せる行動

  • カルシウムを含む食品(乳製品・豆腐・小魚)を意識して摂る
  • ビタミンDのために、晴れた日に1日15〜30分程度の外出・日光浴を心がける
  • 転倒を防ぐために、筋力トレーニング・バランス運動を習慣にする(→ #22)
  • LOH症候群が疑われる場合は、骨密度の評価も含めて医師に相談する

受診・紹介の目安

  • 転倒していないのに背中・腰に強い痛みが出た(脆弱性骨折の疑い:整形外科を受診)
  • 身長が3cm以上低くなった(椎体骨折の可能性)
  • ステロイド薬を長期服用している(骨密度評価を定期的に)
  • LOH症候群と診断または疑われている(骨への影響の評価を医師に確認)

受診先の目安:整形外科、骨粗鬆症外来、内科(かかりつけ)、泌尿器科・Men’s Health外来


免責

本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針の決定に代わるものではありません。症状が気になる場合は医療機関を受診してください。


参考文献

国内文献

  • ※1:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」(2015年)
  • ※2:日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療ガイドライン(2022年版)」
  • ※3:日本骨代謝学会「男性骨粗鬆症に関する声明」

国際文献

  • ※4:Haentjens P, et al. “Meta-analysis: excess mortality after hip fracture among older women and men.” Ann Intern Med. 2010;152(6):380–390.
  • ※5:Vanderschueren D, et al. “Sex hormone actions on bone.” Endocr Rev. 2014;35(6):906–960.