男性の更年期 #6
テストステロンとは:名前だけ知っておきたい要点
結論(先に)
テストステロン(Testosterone:男性ホルモンの主体)は、筋肉・骨・気分・エネルギーなど多くの機能に関わるホルモンです。加齢とともに緩やかに低下することが知られていますが、「低い=すぐ補充が必要」ではなく、症状・数値・他の疾患を総合的に評価する必要があります。この記事では、概念の基本だけを押さえます。
読者の状況
- 「テストステロン」という言葉を聞いたことがあるが、何をするホルモンかよく知らない
- サプリや広告で「男性ホルモンを上げる」という表現を見て気になった
- LOH症候群(→ #1)を調べていて、テストステロンという言葉に出会った
- 血液検査で「テストステロンが低い」と言われ、どういう意味かわからない(→ #7)
- 「補充療法」という言葉を見て興味があるが、安全なのかどうか判断できない
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| テストステロンを上げれば元気になる | 症状・数値の総合評価が必要で、補充療法は適応があって初めて検討される |
| 市販サプリでテストステロンを確実に増やせる | 食品・サプリが医学的に証明された補充効果を持つとするエビデンスは限られる(※1) |
| 「高い」ほど良い | 過剰なテストステロンは赤血球増加・肝機能への影響など副作用のリスクがある(※2) |
| 女性にはテストステロンがない | 女性にも少量のテストステロンが存在し、役割を担っている |
根拠に基づく一般向け整理
テストステロンの主な働き
テストステロン(Testosterone)は主に精巣で産生される男性ホルモンの主体です(※3)。主な働きとして以下が知られています。
- 筋肉・骨:筋肉量・骨密度の維持(→ #28)
- エネルギー・気分:活力・意欲・集中力への関与
- 性機能:性欲・ED(Erectile Dysfunction:勃起障害)への関与
- 脂肪分布:体脂肪の調節(→ #21)
加齢とテストステロンの変化
テストステロン値は通常、20〜30代にピークを迎え、その後年1〜2%程度の割合で緩やかに低下するとされています(※3)。ただし低下の速度・程度は個人差が大きく、高齢でも高い値を維持する人もいます。
「測れる」が「測るべきかは医師の判断」
テストステロンは血液検査で測定できますが、測定値の解釈は複雑です(※4)。
- 総テストステロン(Total Testosterone)と遊離テストステロン(Free Testosterone)の両方が評価に使われることがある
- 採血時間(午前中が望ましい)・体調・採血施設による差がある
- 1回の測定だけでは不十分で、複数回の確認が推奨される場合がある
このため、「低い数値を自分でサプリで対処する」ではなく、医師による評価を経てから対処方針を決めることが安全です(→ #7)。
今日から試せる行動
- テストステロンが気になる場合は「測定してほしい」と医師に伝えてみる
- 生活習慣(睡眠・運動・肥満)がテストステロンに影響する可能性があるため、基本的な見直しから始める(→ #22、→ #21)
- 広告のサプリを購入する前に、医師に相談する
受診・紹介の目安
- 「テストステロンが低い」と健診や検査で言われた(→ #7 で詳細確認)
- LOH症候群の症状(疲労・気力低下・性機能の変化など)が複数ある(→ #1)
- 補充療法について検討したい(必ず専門医の評価が必要)
受診先の目安:泌尿器科、Men’s Health外来、内科(かかりつけ)
免責
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の判断に代わるものではありません。テストステロン測定・補充療法の検討は医療機関で行ってください。
参考文献
国内文献
- ※1:国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報(ホルモン系サプリメント)」
- ※2:日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療ガイドライン(2022年版)」
国際文献
- ※3:Bhasin S, et al. “Testosterone Therapy in Men with Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline.” J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715–1744.
- ※4:Morales A, et al. “Testosterone deficiency syndrome (TDS): needs, risks and benefits of testosterone treatment.” J Steroid Biochem Mol Biol. 2010;121(3-5):572–577.