男性の更年期 #2
AMSスコアで自分の症状を整理する——受診前にできること
結論(先に)
AMS(Aging Males’ Symptoms:加齢男性症状評価尺度)スコアは、男性の加齢に関連する症状を17項目で自己評価できる質問票です。受診前に記入しておくと、医師との対話がスムーズになり、症状の全体像を整理するのに役立ちます。点数の高低だけで自己診断するのではなく、「スコアを持って受診する」ことが目的です。
読者の状況
- 「男性更年期かも」と気になっているが、具体的に何を医師に話せばいいかわからない
- 症状が漠然としていて、受診するほどかどうか迷っている
- LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism:加齢男性性腺機能低下症候群)という言葉を聞いたことがある
- 自分の症状を客観的に整理したい
- 家族から「受診してみたら」と言われている
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| スコアが高ければLOH症候群と確定できる | AMSスコアは診断ツールではなく、症状の整理・受診の目安として使うもの |
| スコアが低ければ問題ない | 項目に含まれない症状もあり、スコアが低くても受診が不要とは限らない |
| 自分でスコアを計算して治療方針を決められる | 治療の適応は血液検査・問診を含めた医師の総合判断が必要(→ #7) |
根拠に基づく一般向け整理
AMSスコアとは
AMSスコア(Aging Males’ Symptoms scale)は、Heinemann らが開発した国際的に使われる自己記入式の質問票です(※1)。17項目について「ない(1点)」から「非常に強い(5点)」の5段階で回答し、合計点を算出します。日本泌尿器科学会のLOH症候群診療ガイドラインでも、症状評価の参考として紹介されています(※2)。
17項目の内容(3領域)
AMSスコアは以下の3領域に分かれています(※1)。
心理症状(5項目)
- 全体的な気分の落ち込み
- いらいらしやすい、攻撃的になった
- 不安感・パニック感
- 体力・気力の消耗感
- 活力・意欲・熱中感の低下
身体症状(7項目)
- 体毛の減少(ひげ・体毛)
- 関節・筋肉の痛み
- 発汗の増加
- 睡眠の問題
- 眠くなりやすい
- ほてり感
- 体力消耗・倦怠感
性機能症状(5項目)
- 性的欲求の低下
- 朝の勃起(朝立ち)の減少・消失
- ED(Erectile Dysfunction:勃起障害)
- 自慰・性交の回数の減少
- 絶頂感の弱まり
スコアの読み方(目安)
合計点の一般的な目安は以下の通りです(※1)。ただし、この分類は参考であり、診断には使用しません。
- 17〜26点:症状なし・軽微
- 27〜36点:軽症
- 37〜49点:中等症
- 50点以上:重症
日本のLOH症候群診療ガイドラインでは、AMSスコアが37点以上かつ血中テストステロン低値の場合に治療を考慮するとされていますが、スコアだけで治療適応は判断しません(※2)。
受診前の使い方
- 記入は10分程度で完了します
- 記入した用紙またはメモを持参すると、初診の問診がスムーズになります(→ #14)
- 「最近スコアが高くなった」と感じる変化もひとつの情報です
- スコアは1回だけでなく、経過をみるために定期的に記入するとより有用です(→ #18)
今日から試せる行動
- AMSスコア17項目を一度記入し、3領域ごとに集計してみる
- スコアが37点以上、またはどの領域でも「非常に強い」が複数あれば受診を検討する
- 記入した結果を写真やメモに残し、受診時に医師へ見せる準備をする
- スコアの日付を記録し、3〜6か月後に再度記入して変化を比較する
受診・紹介の目安
以下に当てはまる場合は早めに医療機関への相談をお勧めします。
- AMSスコア50点以上(重症域)
- 性機能症状が強く日常生活・パートナーとの関係に影響している(→ #5)
- 気分の落ち込み・意欲の消失が2週間以上続く(うつ病との鑑別が必要:→ #3)
- スコアが低くても日常生活に支障が出ている(スコアに出ない症状もある)
受診先の目安:泌尿器科、Men’s Health外来、内科(かかりつけ)
免責
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針の決定に代わるものではありません。症状が気になる場合は医療機関を受診してください。
参考文献
国内文献
- ※1:Heinemann LAJ, et al. の日本語版監修資料を参照した日本Men’s Health医学会資料
- ※2:日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療ガイドライン(2022年版)」
国際文献
- ※3:Heinemann LAJ, et al. “A new ‘Aging Males’ Symptoms’ (AMS) rating scale.” Aging Male. 1999;2(2):105–114.
- ※4:Lunenfeld B, et al. “Recommendations on the diagnosis, treatment and monitoring of hypogonadism in men.” Aging Male. 2021;24(1):1–34.