女性の更年期 #31

更年期指数(SMI)で症状を整理する——受診前にできること


結論(先に)

SMI(Simplified Menopausal Index:簡略更年期指数)は、更年期症状を10項目でスコア化できる日本発のセルフチェックツールです。受診前に記入しておくと、短い診察時間でも医師に症状の全体像を伝えやすくなります。「受診するほどでもないかも」と迷っている方にこそ、まず試してほしいツールです。


読者の状況

  • ほてりや不眠、イライラが続いているが、「更年期かどうか」わからない
  • 症状が複数あるが、何から話せばよいかわからない
  • 忙しくて受診のハードルが高く、まず自分でできることをしたい
  • スコアが「大したことない」と出たら受診しなくてよいのか気になっている
  • 男性のAMSスコア(→ #男性更年期シリーズ参照)を見て、女性版を探している

よくある誤解

誤解実際
スコアが低ければ更年期ではないSMIは「重症度の目安」であり、スコアが低くても症状で困っていれば受診の理由になる
ほてりがなければ更年期ではない不眠・関節痛・抑うつ単独でも更年期症状に含まれることがある
スコアが高ければ必ずHRTが必要治療方針は医師が判断する。高スコアは「早めに相談すべき」サインの一つ
SMIは医療機関でしか使えない自宅でも記入可能。受診のきっかけ作りに活用できる

根拠に基づく一般向け整理

SMIとは

SMI(Simplified Menopausal Index:簡略更年期指数)は、日本産科婦人科学会の更年期診療の場でも参照される自己記入式の問診票です(※1)。10項目それぞれに重みづけがあり、合計スコアで症状の程度を概観します。

10項目とスコアの目安

以下の10症状について、「症状なし(0点)」から「強い(強さに応じた点数)」で自己評価します(※1)(※2)。

  1. ほてり・のぼせ
  2. 発汗
  3. 不眠
  4. イライラ・神経質
  5. 頭痛・頭重
  6. 動悸
  7. 関節・筋肉のこわばり・痛み
  8. 抑うつ気分
  9. 疲労感
  10. 性器の違和感・乾燥感(→ #33)

スコア別の目安(参考値)

スコア目安
0〜25軽症
26〜50中等症
51〜65重症
66以上更年期障害として専門的な対応が必要なことが多い

※スコアは受診不要・受診必要を決めるものではなく、医師との会話の出発点です。

「スコアを持って受診する」効果

診察室で「なんとなく調子が悪くて…」と伝えるより、SMIを記入して持参すると、医師は症状の全体像をすばやく把握できます(※2)。特に初診・オンライン診療では、文字で整理された情報が診察の質を高めます。

AMSスコアとの対応

男性更年期の評価には AMS(Aging Males’ Symptoms)スケールが使われます。SMI が女性版にあたる位置づけです。パートナーと一緒にそれぞれのスコアを確認するきっかけにもなります。


今日から試せる行動

  • SMIの10項目を書き出し、「なし・少し・中程度・強い」で自己評価する
  • 直近1〜2週間の症状で記入し、日付と一緒に手元に保管する
  • スコアの高低にかかわらず「日常生活に支障がある」と感じたら受診を検討する
  • オンライン相談の場合も、SMIの記入内容をチャットや問診票に書いておくと話が早い

受診・紹介の目安

以下に該当する場合は早めに受診を検討してください:

  • スコア51以上が続いている
  • 抑うつ・希死念慮など精神症状が前景にある(→ #35、精神科・心療内科受診を)
  • 不正出血・月経不順が気になる(婦人科での検査が必要)
  • 動悸・胸痛が強い(循環器科との連携が必要なことがある)
  • 日常生活・仕事に支障が出ている(スコアの数値にかかわらず)

免責

本記事は一般向けの健康情報であり、個人の診断・治療の代替ではありません。症状の判断や治療方針は必ず医師にご相談ください。


参考文献

国内文献

  • ※1:日本産科婦人科学会/日本女性医学学会 編「女性医学ガイドブック 更年期医療編 2019年度版」
  • ※2:寺内公一「更年期外来」内科 2021年127巻5号(202105_内科臨床と性差/更年期外来.pdf

国際文献

  • ※3:Heinemann K, et al. The Menopause Rating Scale (MRS) scale: a methodological review. Health Qual Life Outcomes. 2004;2:45.