女性の更年期 #28
アレルギー・免疫と性差——「更年期かと思ったら免疫疾患だった」という誤解を防ぐ
結論(先に)
自己免疫疾患(橋本病・関節リウマチ・SLEなど)は女性に圧倒的に多く、40〜50代に発症または増悪するものがあります(※1)。倦怠感・関節痛・体重変化・発疹などの症状は更年期症状と重なることがあり、「更年期のせい」として見過ごされるリスクがあります。症状が長引く場合や特徴的な所見がある場合は、内科(リウマチ膠原病科・内分泌科)の受診を検討してください。
読者の状況
- 更年期に入ってから関節の痛みや腫れが気になる
- 倦怠感が強く、甲状腺の問題かもしれないと思っている
- 発疹や日光過敏がありSLEかどうか不安
- 「更年期と言われたが、何か他のことも疑った方がよいのでは」と感じている
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「関節リウマチは高齢者の病気」 | 30〜50代の女性に多く、更年期と時期が重なることがあります |
| 「甲状腺疾患は稀」 | 橋本病(慢性甲状腺炎)は女性に非常に多い自己免疫疾患のひとつです |
| 「アレルギーと自己免疫疾患は別の話」 | 免疫調節異常という点で重なる部分があり、女性は免疫応答全体が男性と異なります |
| 「更年期症状と鑑別できなければ婦人科でよい」 | 倦怠感・体重変化・関節症状は内科での血液検査による評価が重要な場合があります |
根拠に基づく一般向け整理
なぜ女性に自己免疫疾患が多いのか
自己免疫疾患は女性に圧倒的に多く、例えば関節リウマチは女性が男性の約2〜3倍、SLE(全身性エリテマトーデス)は9倍以上とされます(※1)。橋本病(慢性甲状腺炎)も女性に多い代表的な自己免疫疾患です。理由として、エストロゲンが免疫応答を修飾すること、X染色体上に免疫関連遺伝子が多いことなどが議論されています(※2)。
更年期と重なりやすい症状
以下の症状は更年期症状と自己免疫疾患の両方に見られることがあります(※1)(※3):
- 倦怠感・疲れやすさ
- 筋肉・関節の痛み
- 体重変化(増加または減少)
- 気分の変動・集中力の低下
- 冷え・むくみ(甲状腺機能低下に特徴的)
橋本病(慢性甲状腺炎)の特徴
橋本病は自己免疫による慢性炎症で甲状腺機能低下を起こすことがあります。倦怠感・むくみ・寒がり・体重増加・便秘・気分の低下などが症状で、更年期症状と非常に似ています(※3)。血液検査(TSH・FT4・甲状腺抗体)で判断でき、婦人科初診時に疑われた場合に内科・内分泌科へ紹介されることがあります。
関節リウマチの早期サイン
朝の関節こわばりが1時間以上続く、手の指の関節が左右対称に腫れる・痛む、といった症状が続く場合は関節リウマチを疑う目安のひとつです(※1)。早期診断・治療が関節破壊の進行を抑える上で重要とされています。
今日から試せる行動
- 倦怠感・関節痛・体重変化など気になる症状の起始・経過をメモしておく
- 健診で甲状腺の検査(TSH)を受けていない場合は追加を依頼することができる
- 「更年期かも」で終わらせず、長引く症状は内科でも相談する
受診・紹介の目安
以下の場合は内科(リウマチ膠原病科・内分泌科)または適切な専門科を受診してください。
- 朝の関節こわばりが1時間以上続く・複数の関節が腫れる
- 甲状腺肥大・首の腫れがある
- 顔・体に原因不明の発疹がある(特に蝶形紅斑)
- 倦怠感・体重変化・脱毛などが数か月続いている
- 日光に当たると皮膚症状が悪化する
免責
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、診断の代替ではありません。症状の評価は医師にご相談ください。
参考文献
国内文献
- ※1:日本リウマチ学会「関節リウマチ診療ガイドライン2020」
- ※3:日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2021」
国際文献
- ※2:Fairweather D, Rose NR. “Women and autoimmune diseases.” Emerg Infect Dis. 2004;10(11):2005-2011.