女性の更年期 #27
痛風・高尿酸血症と女性——閉経後に尿酸値が上がりやすい理由
結論(先に)
痛風は男性に多い病気というイメージがありますが、閉経後は女性でも尿酸値が上昇しやすくなります。これはエストロゲンが腎臓での尿酸排泄を促進する作用を持ち、閉経後にその作用が失われるためと考えられています(※1)。高尿酸血症・痛風発作を指摘された場合は内科を受診し、食事・服薬・生活習慣について相談することが大切です。
読者の状況
- 閉経後に健診で尿酸値が高めになっていた
- 足の関節が突然腫れて痛くなり、痛風かと心配している
- 「痛風は自分には関係ない」と思っていたが気になり始めた
- 尿酸値を下げるために食事を変えるべきか、薬が必要か知りたい
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「痛風は中高年男性だけの病気」 | 閉経後の女性にも尿酸値上昇・痛風発作は起こります |
| 「尿酸値が高くても症状がなければ大丈夫」 | 無症状高尿酸血症でも腎機能・心血管リスクへの影響が議論されています |
| 「ビールをやめれば尿酸値は下がる」 | アルコール制限は有効ですが、プリン体の多い食品・果糖なども関わります |
根拠に基づく一般向け整理
エストロゲンと尿酸排泄の関係
エストロゲンは腎臓の尿細管において尿酸の排泄(尿中への排出)を促進する作用があるとされています(※1)(※2)。閉経前の女性は男性に比べて血中尿酸値が低い傾向があるのはこのためと考えられています。閉経後にエストロゲンが低下すると、この促進作用が弱まり、尿酸が蓄積しやすくなります。
閉経後女性の高尿酸血症の特徴
- 男性の痛風と比較して、閉経後女性の高尿酸血症は診断が遅れることがある
- 利尿薬(高血圧治療など)を使用している場合、尿酸排泄がさらに低下することがある(※2)
- 第1中足指節関節(足の親指の付け根)以外の関節、膝・手首などにも発症することがある
生活習慣と尿酸値
尿酸値に影響する主な要素(※1):
- プリン体を多く含む食品(レバー・魚卵・干物類)の過剰摂取
- アルコール(特にビール・蒸留酒)
- 果糖を多く含む清涼飲料水
- 脱水(水分摂取不足)
- 肥満・急激な減量
これらの改善は尿酸値管理の基本ですが、ホルモン変動による成分が大きい場合は生活習慣のみでの対応に限界があることもあります。
内科受診の重要性
高尿酸血症は痛風発作だけでなく、腎機能障害・尿路結石・高血圧・脂質異常症などと関連する場合があります(※3)(→ #24)。治療の要否・薬物療法の適応は個人の状態に応じて内科医が総合的に判断します。
今日から試せる行動
- 健診結果の尿酸値(基準値:男性7.0 mg/dL以下・女性6.0 mg/dL以下が一般的)を確認する
- 水分を1日1.5〜2L程度意識して取る(医師から制限がある場合を除く)
- 毎日のアルコール摂取量と清涼飲料水の量を振り返る
受診・紹介の目安
以下の場合は早めに内科を受診してください。
- 関節が急に腫れて強い痛みがある(痛風発作の疑い)
- 尿酸値が8.0 mg/dLを超えていた
- 腎機能低下・尿路結石を指摘されたことがある
- 高血圧・脂質異常症・糖尿病などのほかのリスク因子を持っている
免責
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。個別の判断は医師にご相談ください。
参考文献
国内文献
- ※1:日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」2019年
- ※2:寺内公一「更年期外来」内科 2021年127巻5号
国際文献
- ※3:Choi HK, et al. “Pathogenesis of gout.” Ann Intern Med. 2005;143(7):499-516.