女性の更年期 #26
更年期の漢方・サプリ——情報の選び方と誇大広告への注意
結論(先に)
更年期症状に対して漢方薬やサプリメントを検討する方は多くいます。加味逍遥散・当帰芍薬散などの漢方薬は医師処方で使われることがありますが、使用の適否は個人の状態によって異なります(※1)。サプリメントは「治す」ものではなく、誇大広告に注意しながら情報を選ぶ目が必要です。自己判断での使用を始める前に、医師または薬剤師への相談をお勧めします。
読者の状況
- 更年期症状に漢方が効くと聞いたが、何を選べばよいか分からない
- 大豆イソフラボンのサプリが更年期に良いと宣伝されているが信頼できるか
- 市販の漢方薬と医師処方の違いを知りたい
- 薬を使いたくないが何か試せるものを探している
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「漢方は副作用がない」 | 漢方薬にも副作用や薬物相互作用があります |
| 「大豆イソフラボンはホルモン補充と同等の効果がある」 | 効果の大きさや対象症状は異なり、全員に効果があるわけではありません |
| 「“更年期専用”と書いてあるサプリは医学的に証明されている」 | サプリメントは医薬品ではなく、臨床的有効性の基準が医薬品と異なります |
| 「医師に言わずサプリを飲んでも問題ない」 | 処方薬との相互作用や手術前の注意事項があります |
根拠に基づく一般向け整理
更年期に使われる主な漢方薬の概要
日本の更年期外来では、症状のパターンに応じて複数の漢方薬が使われることがあります(※1)(※2)。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん):のぼせ・イライラ・不安・疲労感など精神的な症状を含む場合に用いられることがある
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え・貧血傾向・めまいなど体力低下傾向の場合に使われることがある
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):のぼせと下半身の冷えが混在するパターンなどに用いられることがある
これらは医師の診断と処方に基づくものであり、「どれが自分に合うか」は自己判断が難しい部分です(※1)。市販薬としても販売されていますが、使用前に薬剤師や医師への相談が望ましいとされます。
大豆イソフラボン——情報の見方
大豆イソフラボンは植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)の一種で、更年期症状への効果を示す研究がある一方、研究間でばらつきもあります(※3)。食品からの摂取(豆腐・納豆・豆乳など)は一般的な日本の食生活の範囲では問題視されていませんが、高用量サプリメントの長期使用については注意が必要との見解があります(※3)。
乳がんや子宮内膜症の既往がある場合には使用前に必ず医師に相談してください。
誇大広告を見分けるポイント
- 「確実に改善」「医師が推奨」など断定的・権威付けの表現に注意
- 体験談・口コミのみで科学的根拠が示されていない
- 販売者が「病気の診断・治療・予防に効果がある」と説明している場合は薬機法違反の可能性がある
- 国立健康・栄養研究所「健康食品の素材情報データベース」(公的機関)などで成分を調べることができます
今日から試せる行動
- 現在使用中のサプリメント・市販薬を全部書き出し、次回の受診時に医師・薬剤師に見せる
- 購入を検討しているサプリの成分を国立健康・栄養研究所データベースで確認する
- 漢方薬の使用を希望する場合は、婦人科または漢方外来のある医療機関に相談する
受診・紹介の目安
- サプリメント使用後に体調変化(かゆみ・発疹・倦怠感・黄疸など)が出た場合はすぐに医療機関へ
- 漢方薬を数か月使用しても症状が改善しない場合は医師に再評価を依頼する
- 手術・入院が予定されている場合は事前にサプリ・漢方薬の使用を医師に伝える
免責
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の製品の推薦・効果保証をするものではありません。個別の判断は医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献
国内文献
- ※1:寺内公一「更年期外来」内科 2021年127巻5号
- ※2:日本産科婦人科学会・日本女性医学学会「女性更年期医療ガイドライン」(漢方治療の項)
国際文献
- ※3:Lethaby A, et al. “Phytoestrogens for menopausal vasomotor symptoms.” Cochrane Database Syst Rev. 2013.