更年期をパートナー・家族に伝えにくいとき——伝え方と一緒に受診という選択肢
結論(先に)
更年期症状を身近な人に伝えるのが難しい理由の多くは、「理解してもらえるか不安」「弱く見られたくない」という心理的なハードルにあります(※1)。しかし適切に伝えることで、日常生活での配慮を得やすくなる可能性があります。パートナーが男性更年期(LOH症候群)の時期と重なる場合もあり、お互いの状況を理解することが関係の安定につながることがあります。「一緒に受診する」という選択肢も、ハードルを下げる手段の一つです(→ #8)。
読者の状況
- 更年期症状を夫・パートナーに話したが「気のせいじゃない?」と流された経験がある
- 子どもに心配をかけたくないため、症状を隠して生活している
- 「更年期」という言葉自体が恥ずかしく、口に出しにくい
- パートナーも最近体調が優れない様子で、「私だけ辛い」と言いにくい
- 家族と一緒に受診することへのハードルが高い
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 更年期の話は女性同士でないと通じない | 事実ベースで具体的に伝えれば男性にも理解される場合が多い(※1) |
| パートナーに迷惑をかけてしまう | 状況を共有することでパートナーの対応の質が上がることが多い(※2) |
| 家族に相談しても何も変わらない | 「何が困っているか」を具体的に伝えると行動を変えやすくなる(※1) |
| 一緒に受診するのはおかしい | パートナーへの説明や理解促進のために同席を認めているクリニックも多い(※2) |
根拠に基づく一般向け整理
伝え方の工夫——感情より「事実と影響」で
「つらい」「しんどい」という感情の言葉だけでは、受け取る側がどう動けばいいかわかりにくくなることがあります(※1)。以下のように「事実+影響+具体的なお願い」の形に変えると伝わりやすくなります。
- 感情ベース:「最近すごくしんどいの」
- 事実+影響ベース:「ホルモンの変化で夜中に目が覚めることが週3〜4回あって、翌日の集中力が落ちている。だから夕食後の片付けを手伝ってもらえると助かる」
具体的なお願いの形にすることで、相手は行動しやすくなります(※1)。
男性更年期との相互理解
50代のパートナーが「最近疲れやすい」「気力が出ない」「性欲が落ちた」という変化を見せている場合、男性更年期(LOH症候群:Late-Onset Hypogonadism)の可能性があります。男性のテストステロン低下と女性のエストロゲン低下はほぼ同じ時期に重なることがあり、互いに「なんとなくすれ違う」と感じる時期でもあります(※2)。「お互いホルモン変化の時期かもしれない」という共通認識を持つことが、関係の安定につながることがあります。
「一緒に受診する」という選択肢
婦人科や更年期外来では、パートナーの同席を認めているケースも多くあります。同席のメリットとしては以下が挙げられます(※2)。
- 医師の説明を直接聞くことで、パートナーの理解が深まる
- 「病院でそう言っていた」という裏付けが家庭での配慮につながりやすい
- 男性更年期の話をついでに相談する入口にもなる
オンライン診療でも家族同席が可能なケースがあります(→ #8)。
子どもへの伝え方
未成年の子どもに対しては、詳細より「ちょっと体の調子が悪い時期があるから、家の中で協力してもらうことがある」という程度に留めるほうがよいことが多いです(※1)。親が医療を受けている姿を見せることは、子どもの「病院に行く習慣」の形成にもプラスに働くことがあります。
今日から試せる行動
- 「事実+影響+具体的なお願い」の形で一つだけ伝えてみる
- パートナーに更年期について書かれた信頼できるウェブページを一緒に見る
- 次回の受診に同席してもらうことを提案してみる
- パートナーの体調の変化にも目を向け、男性更年期の可能性を念頭に置く
受診・紹介の目安
以下の場合は早めに婦人科・精神科・カウンセリングへの受診をお勧めします。
- 赤旗症状:家族との関係において暴力・強い精神的ストレスがある(相談窓口への接続が先)
- 赤旗症状:希死念慮・自傷行為がある(精神科・心療内科が優先)(→ #4)
- 症状の影響で家族関係が継続的に悪化している
- 一人で抱えることに限界を感じている(→ #21 も参照)
免責
本記事は一般向けの健康教育を目的としており、個別の診断・治療方針を保証するものではありません。症状が気になる場合は医療機関を受診してください。
参考文献
国内文献
- ※1 三羽良枝. 電話相談から見た更年期女性の実情と問題. 公衆衛生 2010; 74(2): 109–.
- ※2 河端恵美子. 現代女性と更年期障害. 公衆衛生 2010; 74(2): 99–108.
国際文献
- ※3 Hvas L, et al. Positive aspects of menopause: a qualitative study. Maturitas 2001; 39(1): 11–17.
- ※4 Ayers B, et al. The impact of attitudes towards the menopause on women’s symptom experience: a systematic review. Maturitas 2010; 65(1): 28–36.