女性の更年期 #19

子育て世代の更年期——時間が取れないときの受診・対処のヒント


結論(先に)

子育てや家事で自分のことを後回しにしがちな世代は、更年期症状が悪化するまで気づかないことがあります。「通院時間がない」という問題はオンライン診療で解消できる可能性があり、受診のハードルは以前より下がっています(※1)。自分の体調を守ることは、家族の生活を守ることにもつながります(→ #8)。


読者の状況

  • 子どもの送迎・学校行事・習い事対応で平日の昼間が自由にならない
  • 家事・子育て・仕事を全部こなす中で「自分の体調」は後回しになっている
  • 「更年期かもしれない」と思いつつ、受診を先延ばしにしている
  • 夜子どもが寝てから自分の症状を検索する、という生活パターン
  • パートナーに「たいしたことない」と思われている気がして相談しにくい

よくある誤解

誤解実際
更年期の受診は時間がかかるオンライン診療なら隙間時間に完結できる場合がある(※1)
今は子育てが優先だから受診は後でいい症状を放置すると睡眠・気分・仕事への影響が広がる可能性がある(※2)
更年期は50代になってからでいい40代前半からペリメノポーズが始まることもある(→ #2・#37)
家族に相談しても理解されない事実と感情を分けて伝えると伝わりやすくなる場合がある(→ #20)

根拠に基づく一般向け整理

「サンドイッチ世代」と更年期の重なり

40〜50代の女性は、子育て(未就学〜思春期の子どもの世話)と、場合によっては親の介護も重なる「サンドイッチ世代」と呼ばれることがあります(※2)。この時期は心身への要求が多く、自分の体調変化への注意が向きにくくなります。その結果、更年期症状が相当程度進行してから初めて受診する方も少なくありません(※2)。

自分を後回しにするコストの整理

「後で受診しよう」を繰り返すことにはコストがあります。具体的には以下のような影響が生じることがあります(※2)。

  • 睡眠の悪化が翌日の子育て・仕事のパフォーマンスを低下させる(→ #6)
  • 慢性的な疲労・気分の落ち込みが家族との関係に影響する
  • 症状が悪化してから受診すると、回復により長い時間がかかることがある

「自分のための時間を使う」ことは利己的ではなく、家族全体のQOLを守ることです(※1)。

隙間時間でのオンライン相談の活用

オンライン診療は予約・受診・処方受け取りをすべて非対面で完結できるサービスが増えています(※1)。子どもが昼寝中・学校に行っている間・夜寝てから、というわずかな時間でも受診できる可能性があります。

  • 予約はスマートフォンから数分でできる
  • 受診は自宅のどこからでも可能
  • 処方薬は郵送で受け取れることがある

受診前の準備を「少しずつ」やっておく

更年期症状のオンライン受診をスムーズにするために、以下を事前に整理しておくと便利です(→ #38 も参照)。

  • 最後の生理の日付、生理周期の変化
  • 気になる症状の内容と頻度(症状日誌があるとなおよい)(→ #39)
  • 常用薬・アレルギーの有無

今日から試せる行動

  • 子どもが寝た後の10分を「自分の健康確認タイム」にする
  • 気になる症状をスマートフォンのメモアプリに記録しておく
  • オンライン診療サービスの登録だけ先に済ませておく(予約はそのあとでいい)
  • パートナーや家族に「受診したい」と一言伝える(詳細は→ #20)

受診・紹介の目安

以下の場合は早めに婦人科・更年期外来への相談をお勧めします。

  • 赤旗症状:気分の落ち込み・希死念慮がある(精神科・心療内科が優先)(→ #4)
  • 赤旗症状:不規則出血が続いている(器質的疾患の除外が必要)
  • 症状が3か月以上続き、日常生活・育児に支障が出ている
  • 「更年期なのか、他の病気なのか」の判断がつかない

免責

本記事は一般向けの健康教育を目的としており、個別の診断・治療方針を保証するものではありません。症状が気になる場合は医療機関を受診してください。


参考文献

国内文献

  • ※1 三羽良枝. 電話相談から見た更年期女性の実情と問題. 公衆衛生 2010; 74(2): 109–.
  • ※2 河端恵美子. 現代女性と更年期障害. 公衆衛生 2010; 74(2): 99–108.

国際文献

  • ※3 Griffiths A, et al. Menopause and work: an electronic survey of employees’ attitudes in the UK. Maturitas 2013; 76(2): 155–159.
  • ※4 Mishra GD, et al. Early or premature menopause and social disadvantage: a systematic review. Maturitas 2019; 126: 37–56.